そるずのブログ

140文字に収まりきらないなんかを書いたりする

BeatmaniaⅡDXを知らない人でもBEMANI PRO LEAGUEを見てくれという話。

6月に始まったBEMANI PRO LEAGUE(以下BPL)も今日10月2日のファイナルステージをもって今シーズンが終わった。
これを見終えてBeatmaniaがわからない人でも、音楽ゲームあまりわからん勢にも見てほしくなったために今回の記事を書きます。
というより20年以上積み重ねた名曲達がみんないいからとにかく見ろ。
なお、筆者の実力は最近四段になった程度のため技術面での解説は省略します。

前段

1.ゲーム世界と融合する大会

このBeatmaniaというゲームはプレイヤーがDJとなり、サンプラーを模したボタンとレコードを模したターンテーブルを操作するゲームである。
そして対戦の間にResident DJであるkors k氏が音楽を繋ぎ、対戦のカウントダウンと共に音が対戦シーンへと入れ替わる。これによってDJが入れ替わって音楽を繋いでいるような感覚となり、ゲーム内での世界と一致しているように見せられる。開催前に『eSports×音楽』を明言していることもあり、魅せる興行としてのBPLという立ち位置を明確に示している。また、大会内でDJ含め使用されている楽曲のほとんどが実際に現在ゲームセンターで稼働している筐体でプレーできるため、大会内でかけられた曲を真似して実際に経験できる点も魅力的。

2.音楽ゲームでの対戦について

通常、音楽ゲームにおいて相手となるのは「譜面そのもの」であり、対戦相手の「人」に対して働きかける要素は一部機種を除いて存在しない。
そのため、対戦という分野で相手そのものに関して関与する術がないという点では陸上や水泳が競技性としては近いものと考えられる。
また、今回の機種であるBeatmaniaというゲームでは理論上の最高得点を取るということが非常に難しく、具体的に言えば落下してくるオブジェクトであるノーツを最高判定であるP-GREATの判定で取るためには判定の芯から±0.016秒のズレまでしか許容されない。
こういった事から、10年以上前に出た最高難易度であるLV12の楽曲で昨年の1月7日に初めて満点が出た際は騒ぎになったほどである。
その上で譜面の特性によるジャンル分け、数少ない干渉要素である選曲による優位の確保といった点でより競技的に、より選手たちの個性が引き立つように構成されている。次のパートではこれらの要素について詳しく書いていく。

本編

1.ジャンル分けで引き出される個性

BPLにおいて使用される曲は以下の6ジャンルに分けられる。
・NOTES(ノーツが多く落ちてくる譜面)
・PEAK(一部分で他と比べてノーツの落ちてくる数が多い)
・CHORD(同時押しが多い)
・CHARGE(長押しが多い)
・SCRATCH(ターンテーブルの操作が多い)
・SOF-LAN(曲の途中で落下速度が変化する)

用語集 | BEMANI PRO LEAGUE 2021
詳しい解説は上の公式HPに譲るが、これら6つのジャンルの中で選手たちは己の武器となる曲を選定する。
そして対戦ごとにジャンルと難易度帯があらかじめ選定され、各チームに所属する選手は出場のためのコストを消費して相手チームと戦っていく。
重要となるのが、『コストと出場回数が足りているならば、自分の得意分野のみ出場できる』という点である。
当然ではあるが、この場に選ばれるほどの選手達といえど得意、苦手は存在する。
例えばノーツの多い重量級の譜面に強い選手、逆にノーツが少ない低中難度帯で強い選手、SCRATCHやSOF-LANといった癖の強い譜面に対して強い選手。
そして、先ほどジャンル分けがなされていると書いたが実際にはシステム上設定されているジャンルと違う部分に難所がある「脱法曲」と称されるものもあり、コストの都合上等で得意ではないジャンルで出たとしても勝ち星を挙げることもしばしばある。
極論を言えば「全ジャンルそれなりに戦えるオールラウンダー」よりも「他のジャンルは平均以下だがほぼ負けないジャンルがある」ということが許容されるのがBPLの面白いところである。

2.試合形式による戦略性

大会ルール | BEMANI PRO LEAGUE 2021
またも詳しくは公式HPを参照してほしいが、ここではファーストステージ、セカンドステージの形式について書いていく。
簡潔に説明すると試合では両チーム3人の選手が出場して各選手が1曲ずつ選出し、先鋒戦は1曲勝利するごとに各1pt、中堅戦は2pt、大将戦は3ptで獲得点数の多いチームが勝利する。
この形式で重要なのは少なくとも相手の選曲や大将戦でポイントを獲得できなければ最高でも引き分けにしかならないという事、1対1の戦いであるという点にある。公式大会であるKACでは4人での戦いとなるため3人を相手にする必要があるため、結果として得意な曲にフォーカスが当たる。対してBPLにおいては相手は1人。たとえ自分が苦手な曲でも相手が超苦手であるならば、勝つための武器の一つとして成立するのである。無論、相手が絶対に越せないほどの記録を安定して出せるならばそれも武器として成り立つ。
そのため、対戦前からいかに自分が得意かつ相手が苦手な曲を選べるか、相手の選ぶ曲を予想してそこに対応できるかといった点、そして相手の選曲を変更できる『ストラテジーカード』の存在。これらの点によってより対戦そのものが奥深いものとなっている。

3.1対1ゆえに引き立つ因縁

あくまでチーム戦ではあるものの、対戦という意味では1対1で互いに曲を選んで戦う形式であるために、『昔から競い合った2人の激突』というものが明確に出る。前項では公式大会について多少説明をしたが、「音楽ゲームの大会」という点では店舗内で行われる小さな非公式大会も数多く存在する。その中で競い合い、磨かれたものが時を超えてBPLという舞台で激突するというシーンがあり、「個人」へのフィーチャーに対して奥深さを与えている。他にも『BPLプレ大会で何度も戦った2人が4度目の激突』や『時代をすれ違った王者と大魔王の戦い』といった様々なシーンが存在し、それぞれが「アチアチ」な戦いを魅せている。

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本項の因縁が語られる。

とにかく見てくれ

簡単ではあったが今回のBPLの魅力について書いたが、正直に言えば見たほうが早い気もするので以下に動画を用意する。
https://youtu.be/rAu6HhkVEls
勝戦のURL。極端にネタバレが嫌いじゃない限りここから見ていい。

youtu.be
DJ時の曲名表示や曲終了時のチームの声が入ったりと個人的には予選的位置から見たいならここかなあといった感じ。

youtu.be
大会はともかくとしてまずは純粋に曲を楽しみたい人向け。セカンドのノーコメンタリー版待ってます。

youtu.be
舞台裏系が好きな人向け。ここからは少ないと思うけど一応。

本当はさらに各チームの発信とか色々書きたかったけど書いたら一生終わらん気がするので書けたら別記事に書きます。